旅先の妻の表情。<br />大地震後の不安な日々。<br />職場の千絵ちゃんの愛らしさ――。<br />次第に細部をすり減らしながらも、なお熱を発し続ける一つ一つの記憶の、かけがえのない輝き。<br />覚えていることと忘れてしまったことをめぐる6篇の連作に、ある秋の休日の街と人々を鮮やかに切りとる「文化」を併録。<br />芥川賞作家による会心の小説集。<br />