昭和二十年八月十五日朝、劇的な自決を遂げた陸相・阿南惟幾。<br />帝国陸軍の典型的軍人として平凡な道を歩んでいた彼は、突然、その生涯最後の四カ月、歴史の表舞台に引き出された。<br />巨大な組織の統率者として敗戦へ向う過程で、彼は何を考え、何を為そうとしたのか。<br />――一切を語らず自決した軍人・阿南惟幾の行動を緻密にたどり、歴史の事実として捉えた、帝国陸軍の擡頭と崩壊の日。<br />