有名な仏教学者・田能村清州の息子・耕は、親戚の娘・衿子と秘かに好意をいだき合っていたのだが、耕がアメリカ出張から帰ると、あろうことか彼女は父と結ばれていた。<br />絶望した彼は、愛情のない結婚をし、私生活は乱れた。<br />ところが、清州の急死から、もう一度、衿子との接触が始まって……。<br />愛欲のもつれのなかに、罪悪意識を追究して、著者ならではの心理描写が冴えわたる作品。<br />