「わしは俳諧師という商人や」と豪語し、知恵才覚を駆使して版元を巧みに操ってゆく西鶴。<br />「俳諧は興行や」といい、大坂住吉大社に人集めして昼夜ぶっつづけの矢数俳諧を行ない、世間を驚かせる西鶴。<br />そんな彼が、芭蕉についに比肩することあたわず、俳諧へのこだわりをきっぱりと捨て、「好色一代男」をはじめとする浮世草紙作家へと変貌してゆくまで。<br />――著者渾身の力作長編小説。<br />