小さな島から上京し、カメラ店で働いていた景子が手にいれた幸せは、見せかけだけのものだった。<br />――心身共に傷つきながらも新たな幸福への旅立ちを予感させる表題作。<br />死化粧師という仕事を選んだ女性の変貌と自立を見つめる「天櫓」。<br />一人息子に先立たれた老夫婦が息子の忘れ形見を探し出す「麦藁帽子」。<br />身近な不幸を見据えながら、真の幸福を求め続ける女性たちを描いた中編三作。<br />