木谷上等兵は二年の刑を終え原隊に戻ってきた。<br />なぜ自分が無実の罪に問われたか、誰が自分を陸軍刑務所に突き落したのか? 秘密のカギを握る者は誰だ、そして真の‘犯人’は! 巧みな構成の展開にしたがい‘秘密’の核心は軍法会議、すなわち天皇制絶対主義のからくりに集約される。<br />戦後はじめて、軍隊機構の末端である兵営の緻密な描写を通して、日本軍国主義を批判した問題作。<br />