表題の「性に眼覚める頃」は大正八年作。<br />北陸の古都に芽ぐむ春のいたみを物語って、官能の香り高い初期の自伝的名作である。<br />「チンドン世界」は、場末の映画館に見る世俗の世界を、そして「ヒッポドロム」は、サーカス小屋の少女に寄せる作者の淡い思いを描き、また「ゴリ」には、野性の呼び声が悲しく漂っている。<br />ほかに「音楽時計」「医王山」「生涯の垣根」の、全七篇を収録。<br />
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