「鈍根」ゆえに武芸師範の家を継ぐことができず、父によって左手の指を切断され、藩士末席の小普請に落ちた若者、田宮弥太郎。<br />彼が、周囲からの侮蔑に耐えながら、ついに右手一本で体得した「秘剣」とは――。<br />剣に生き剣に死ぬ、信念に生き信念に死ぬ。<br />誇り高き者たちの織りなすさまざまな人間ドラマを、ペーソスとともに、いつくしみこめて描き出した、力作士道小説7編を収録。<br />