歌こそは、日本語が構成し得る最上の韻文である。<br />日本語の特質である柔軟かつ自由な不定則韻を踏み、微妙な音楽を構成する。<br />真の韻律的な詩的陶酔を欲するならば、伝統の和歌を読む外はない。<br />――近代の虚無をくぐった郷愁の詩人・朔太郎が、万葉集、古今集、六代歌集、新古今集から、主として恋愛歌をとりあげ、その浪漫的抒情のなかに日本詩の美しさを発見し、新しく解説した名著。<br />