土地の親分を斬って旅に出た国定忠治が関八州を股にかけ、なじみの深い府中宿にさしかかると、恩義ある万太郎親分が殺されて一家は離散、いとしいお光は行方不明と聞かされた。<br />たちまち若い仁侠の血は恋と意地に燃えたぎる。<br />市井無頼の徒のいだく悲しい英雄主義、厳しく美しい義理人情……。<br />昭和七―八年、東京日日新聞連載。<br />股旅ものの第一人者として作者の盛名をはせた傑作。<br />