「どうぞお試しくださいませ。<br />ブラック・オア・ホワイト?」スイスの湖畔のホテルで、バトラーが差し出した二つの枕。<br />パラオ、ジャイプール、北京、そして京都。<br />エリート商社マンに人生の転機が訪れる度に、黒と白の枕が現れる。<br />悪夢、それとも美しい夢。<br />それは、実現しなかった人生の一部分なのか。<br />夢と現(うつつ)の境は曖昧になり、夢が現実を呑み込んでいく。<br />現代日本の実像に迫る、渾身の長編小説。<br />