戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。<br />派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。<br />巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。<br />そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。<br />故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。<br />