デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。<br />社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。<br />死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。<br />母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。<br />苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。<br />山田風太郎賞受賞作。<br />