貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。<br />葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。<br />最後に会ったのは、夏だった。<br />25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。<br />ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。<br />縺れる記憶、混ざる時間、交錯する夢と現。<br />そうして境は消え、果てに言葉が解けだす――。<br />やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。<br />小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。<br />