命の危険はなかった。<br />けれどいちばん恐ろしい場所は〈我が家〉でした――。<br />母の一周忌があった週末、光世は数十年ぶりに文容堂書店を訪れた。<br />大学時代に通ったその書店には、当時と同じ店番の男性が。<br />帰宅後、光世は店にいつも貼られていた「城北新報」宛に手紙を書く。<br />幼い頃から繰り返された、両親の理解不能な罵倒、無視、接触について――。<br />親という難題を抱える全ての人へ贈る相談小説。<br />