アロマオイルを纏(まと)った肌をぶつけ合い、のぼり立つ匂い。<br />調香師との情事は、私に長い愛人生活を終わらせる予感を抱かせた。<br />あの光景を目にするまでは――(「アンビバレンス」)。<br />年上の人妻経営者に持ちかけられた三か月間の恋人契約。<br />俺に抱かれ、女の喜びを感じると話していた彼女は、なぜ突然いなくなったのだろう(「バタフライ」)。<br />記憶と熱を一瞬で呼び覚ます特別な香り。<br />五編の恋愛小説集。<br />