ひたすら彫る。<br />彫るために生きる。<br />それが仏師だ。<br />全く新しい美を創造し、日本芸術史に屹立する天才運慶。<br />その型破りな人生とは――。<br />少年の頃、「醜い顔」と嘲られた運慶は、女の姿態や鎌倉武士の強靭な肉体に美を見出していく。<br />快慶との確執、荒ぶる野心。<br />棟梁として東大寺南大門の金剛力士像を完成させた絶頂期、病に倒れた。<br />劇的な生涯を描ききる、本格歴史小説。<br />中山義秀文学賞受賞作品。<br />(解説・籔内佐斗司)