「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。<br />死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。<br />「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。<br />妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。<br />科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。<br />