「四国って土地だから行政からほっといてもらえるのかもしれない」二年に一度、村の全員で住む場所を移す「村うつり」。<br />私は‘足’を澄ませ、移った故郷を探す(「ふるさと」)。<br />三崎の若い漁師達は遭難し、マグロになった。<br />海に飛び込もうとする彼らを叱咤したのは船頭の大マグロ。<br />励まされ、必死に漁を続けると――(「野島沖」)。<br />生も死もほんとうも嘘も。<br />物語の海が思考を飲みこむ、至高の九篇。<br />(解説・彩瀬まる)