今日も死ななかった。<br />あの帽子を見たために、今日も死なずにすんだ――。<br />一緒に住んでいた女に出ていかれ、切り詰めた生活でひたすら小説を書く40代の男。<br />書けない日々が続き、いつしか死への誘惑に取り憑かれた男に、ある日人探しの依頼が届くが……。<br />虚実のあわいで佇む作家の日常を描く連作小説集。<br />芥川賞作家の新境地作。<br />