「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。<br />上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。<br />だが売上伝票を見返して全身が強張る。<br />本来の注文の11倍もの誤受注をしていた――。<br />躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。<br />人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。<br />(解説・池上冬樹)