第二次大戦下、神戸トーアロードの奇妙なホテル。<br />‘東京の何もかも’から脱走した私はここに滞在した。<br />エジプト人、白系ロシヤ人など、外国人たちが居据わり、ドイツ潜水艦の水兵が女性目当てに訪れる。<br />死と隣り合わせながらも祝祭的だった日々。<br />港町神戸にしか存在しなかったコスモポリタニズムが、新興俳句の鬼才の魂と化学反応を起こして生まれた、魔術のような二篇。<br />(解説・森見登美彦)