帝大出の文部官僚である砺波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。<br />敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。<br />やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。<br />平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。<br />