腕っぷしは弱いが、見た目は役者と見紛うばかりのいい男。<br />柳亭種彦は二百俵取りのお殿様で、暇を持て余す趣味人だ。<br />その読み手を楽しませる才能を見込んだ版元の山青堂は、彼の戯作で一山当てようと目論む。<br />渋々ながらも書き始めた種彦。<br />すぐに戯作の虜になるが、世に出した作品がその身を危うくする……。<br />実在した流行作家の若き姿と、本を愛おしむ仲間たちとの痛快な活躍を描く。<br />(解説・新井見枝香)