禁教の嵐が日本を襲った。<br />苛烈を極めた拷問、眼前で行われる磔刑。<br />村々を束ねる大庄屋は懊悩する。<br />棄教か殉教か。<br />隠れることは正しいのか。<br />「人間には命より大切なものがあるとです」一人の男が決断した殉教、あふれてやまぬ涙。<br />信仰とは、救済とは……。<br />江戸時代を通じて、ひっそりと潜教し続けた福岡県「今村信徒」の慟哭の歴史を、真率に描きぬいた感動の巨編。<br />吉川英治文学賞他受賞作品。<br />(解説・縄田一男)