悪いと思いながら少女は母を蹴る。<br />性欲のまま早熟な体を安売りする。<br />死病に冒された女は夫ではない男に身を任せ、夫は当てつけのように女を買う。<br />貞淑な祖母は孫を見捨て、清らかなはずの女は「一番愛している」からと悦楽に溺れていく。<br />口には出せないたくさんの秘密。<br />それは他人の痛みに手を差し伸べる‘桜井さん’の中にもあった。<br />R-18文学賞読者賞作を含む、日常への裏切りに満ちた連作集。<br />(解説・彩瀬まる)