城をひとつ、お取りすればよろしいか――。<br />小田原城に現れた男は不敵にも言い放った。<br />ある時は馬商人、ある時は旅の僧に姿をやつし、敵中深く潜入する。<br />人の心を操るという兵法書『孟徳新書』の「入込」の術で、相手を分断。<br />機を見て一気に城を奪取する。<br />曰く「敵を攻めるのではない。<br />敵の心を攻めるのだ」。<br />江戸城攻略をはじめ、北条五代を支えた謎の軍師一族を名手が初めて描き出す傑作。<br />(解説・春風亭昇太)