小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。<br />「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。<br />百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。<br />
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