捨てたものではなかったです、あたしの人生――。<br />男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ主婦と姑、両親の不仲をみつめる小学生、そして裸足で男のもとへ駆けていった女……。<br />それぞれの人生はゆるくつながり、わずかにかたちをかえながら、ふたたび続いていく。<br />東京の小さな町を舞台に、平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す連作短篇小説。<br />