遣唐使の代表として波濤を越え運河を遡った真人。<br />その眼に映る唐は、則天武后のもとで大きく様変りしていた。<br />解決せずには帰国も覚束ない懸案があった。<br />使節団にも漏らすことの出来ぬ秘密交渉の糸口はどこにあるのか。<br />ゆくりなくも彼は、王宮の奥つ城で妖しくも美しい月を見た――。<br />作家生活三十年の蓄積を傾けた歴史情報小説。<br />