恋をしたとき、女の準備は千差万別。<br />海の穴に住む女は、男をすりつぶす丈夫な奥歯を磨き、OLの誠子さんは、コロボックルの山口さんを隠すせんべいの空き箱を用意する。<br />おかまの修三ちゃんに叱られ通しのだめなアン子は、不実な男の誘いの電話にうっかり喜ばない強い心を忘れぬように。<br />掌小説集『ざらざら』からさらに。<br />女たちが足をとられた恋の深みの居心地を描く22の情景。<br />