錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。<br />跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。<br />天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋するなか、驚天動地の大注文が入る。<br />江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凜はこころをひとつにするが――。<br />職人世界の粋と人情を描く本格時代小説。<br />(『恋細工』改題)(解説・細谷正充)