私はいずれ、夫に殺されるかもしれない。<br />義父の弔問に訪れた前妻の佑香。<br />夫は彼女とよりを戻したのではないだろうか。<br />苦悩が募る中、通勤バッグにある物を発見してしまう(表題作)。<br />日常を一本の電話が切り裂いた。<br />大学生の息子哲生から元交際相手傷害事件について話を聞いている。<br />刑事がそう告げたのだ(「戻り梅雨」)。<br />平凡な家庭に潜む秘密を鮮やかに浮かび上がらせる、五篇の傑作ミステリ。<br />(解説・千街晶之)