事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。<br />彼女の元には風変わりな依頼ばかりやってくる。<br />宿り木の枝、小鳥の声、毛糸玉にカレーポット、そして――。<br />夏樹は額装の依頼品を通じて依頼人の心に寄り添い、時にその秘密を暴いていく。<br />表具額縁店くおん堂の次男坊・久遠純は、そんな夏樹の作品の持つ雰囲気に惹かれ、やがて彼女自身にも興味を持つが。<br />五編の連作集。<br />『額を紡ぐひと』改題。<br />