五歳のとき双子の妹・毬絵は死んだ。<br />生き残ったのは姉の雪絵――。<br />奪われた人生を取り戻すため、わたしは今、あの場所に向かう(「楽園」)。<br />思い出すのはいつも、最後に見たあの人の顔、取り消せない自分の言葉、守れなかった小さな命。<br />あの日に今も、囚われている(「約束」)。<br />誰にも言えない秘密を抱え、四人が辿り着いた南洋の島。<br />ここからまた、物語は動き始める。<br />喪失と再生を描く号泣ミステリー。<br />(解説・中江有里)