浚介は游子の病室を訪れた。<br />二つの心は、次第に寄り添ってゆく。<br />山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。<br />ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。<br />冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。<br />彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている――。<br />悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。<br />永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。<br />