1960年代後半。<br />芳郎は東京で下宿生活を送る高校生だ。<br />酒や煙草、夜遊びに耽る毎日だが、その心には母への憎悪が深く影を落としていた。<br />童貞を捨てた彼は性にのめりこみ、やがて運命の女、由美子に出会う――。<br />無軌道な少年時代と実母との確執とを赤裸々に描き、「この作品こそ自分自身」と著者に言わしめた唯一の自伝的作品であり、遺された数多の作品世界の原点ともいうべき特別な長編小説。<br />(解説・小池真理子)