深川黒江町の長屋で、刃物の研ぎを生業とする太吉、ひとり者。<br />ある夏の日、裏店にひとりの若い女が訪ねて来る。<br />料理人だった父親の形見である出刃庖丁を、供養として研いでほしいという。<br />快く引き受けた太吉に、かおりと名乗るその娘は、妙なことを口走る。<br />「おとっつあんは、殺されたんです」――。<br />一本の庖丁が暴いていく、切ない事件の真相とは。<br />切れ味抜群の深川人情推理帖!(解説・末國善己)