上様の寵愛こそすべて、とは考えなかった女性たちがいた。<br />御手つきとは違い、昼間の仕事に励んだ「お清」の女中たち。<br />努力と才覚で働く彼女たちにも、人知れず悩みはあって……。<br />里に帰れぬ事情がある文書係の女、お洒落が苦手なのに衣装係になった女、大柄というだけで生き辛い女、負けるわけにはいかぬが口癖の女。<br />涙も口惜しさも強さに変えて、溌剌と自分らしく生きた女たちを描く傑作。<br />(解説・細谷正充)