初めて見る皆既日食に小学五年の弦太たちは沸き立った。<br />しかし、その日から、クラスメイトの家や学校の兎小屋などで放火事件が相次ぐ。<br />消防士として殉職した父に似て強い正義感をもつ弦太は、友達と共に犯人捜しに動き出す。<br />だが、危険を冒しながら辿り着いたのは、せつないほど歪(いびつ)な光と影だった。<br />父が遺した言葉を守る少年が、大人になるための嘘と痛みを知っていく鮮烈な青春ミステリー。<br />(解説・中江有里)