友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫多。<br />或る日彼の生活に変化が訪れたが……。<br />こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか――。<br />青春に渦巻く孤独と窮乏、労働と痛飲、そして怨嗟と因業を渾身の筆で描き尽くす、平成の私小説家の新境地。<br />