生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。<br />それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた──「死顔」。<br />明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿──「クレイスロック号遭難」。<br />さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。<br />著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。<br />