白装束に高足駄、髭面で好色そうな大男が、羽黒山からやって来た。<br />はじめ彼は村びとから危険視され、うさん臭く思われていたが、子供の命を救ったり、娘の病気を直したりするうち、次第に畏怖と尊敬の眼差を集めるようになった……。<br />年若い里山伏と村びとの織りなすユーモラスでエロティックな人間模様のうちに、著者の郷里山形県荘内地方に伝わる習俗を小説化した異色の時代長編。<br />