初老の男たちの心に残されたつらい戦争の記憶。<br />若き留学時代にふれあった異邦の人々の上に流れた歳月の跡。<br />兄の死と母の遺体の再埋葬にたちあい心をよぎる人生の帰着の姿。<br />歳月、老い、そして人生……。<br />夕暮れの光を受け鮮やかな輝きを見せる色硝子のように、深々と心に刻まれる生の断片。<br />生きることの重みを、人生のうしろ姿を、読む者の心にしみこませる十一話を収めた短編集。<br />