札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、志茂別駐在所に単身赴任してきた。<br />十勝平野に所在する農村。<br />ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。<br />だが、町の荒廃を宿す幾つかの事案に関わり、それが偽りであることを実感する。<br />やがて、川久保は、十三年前、夏祭の夜に起きた少女失踪事件に、足を踏み入れてゆく――。<br />警察小説に新たな地平を拓いた連作集。<br />