何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影――強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。<br />それが最悪のものであり、手術後一年以上の延命例が皆無なことを知らされた。<br />「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。<br />激痛にもだえ人間としての矜持を失っていく弟……。<br />ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。<br />毎日芸術賞受賞。<br />