政夫と民子は仲の良いいとこ同士だが、政夫が十五、民子が十七の頃には、互いの心に清純な恋が芽生えていた。<br />しかし民子が年上であるために、ふたりの思いは遂げられず、政夫は町の中学へ、民子は強いられ嫁いでいく。<br />数年後、帰省した政夫は、愛しい人が自分の写真と手紙を胸に死んでいったと知る。<br />野菊繁る墓前にくずおれる政夫……。<br />涙なしには読めない「野菊の墓」、ほか三作を収録。<br />