二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。<br />けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。<br />嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習’お船様’が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。<br />