不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。<br />老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。<br />生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た……。<br />生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。<br />