川奈自工の人事部長冬木と、その下請会社の社長山岡。<br />かつて戦場で同じトラックに乗っていた二人を通し、戦後日本経済の勇者〈自動車産業〉の内部をリアルに重層的に描く。<br />強大な力ゆえに海外から激しい非難の矢をあびせられながら、沈黙を守るメーカー。<br />その下でより大きな沈黙を強いられる下請け。<br />そんな構図の中に、戦後を生きぬいた日本人の縮図を透視した書下ろし長編小説。<br />